なまけるりょうせいるい

ドイツと銃とバイクとドイツ刑法とアメリカについて語るウーパールーパー

キラキラドイツ留学ブログです、嘘です。好きなことだけ書きます。

「秘密の配備」(Der heimliche Aufmarsch)の和訳・解説

社会主義ぶち上げソングに秘密の配備(Der heimliche Aufmarsch)というのがある。

あるのだが、ネットで挙げられている動画の和訳を見て間違いが多いため、個人的に全訳して訂正したいと思う。*1

よかったら参考にしてください。

 

秘密の配備 - Wikipedia

youtu.be

 

 

(歌詞の引用はWikipediaより)

 

<1番>
Es geht durch die Welt ein Geflüster:

世界でささやかれている

Arbeiter, hörst du es nicht?

労働者よ、それ*2が聞こえないのか?
Das sind die Stimmen der Kriegsminister:

それは各国の国防大臣による声だ
Arbeiter, hörst du sie nicht?

労働者たちよ、それ*3が聞こえないのか?
Es flüstern die Kohle- und Stahlproduzenten,

石炭と鉄鋼産業がささやいている
Es flüstert die chemische Kriegsproduktion,

化学軍需産業がささやいている
Es flüstert von allen Kontinenten:

すべての大陸からささやかれている
Mobilmachung gegen die Sowjetunion!

「それはソ連に対する動員なのだ!」

 

<コーラス>
Arbeiter, Bauern, nehmt die Gewehre,

労働者たちよ、農民たちよ、銃を取れ
Nehmt die Gewehre zur Hand.

銃を手に取れ
Zerschlagt die faschistische Räuberheere,

ファシストの略奪者どもを粉砕し
setzt alle Herzen in Brand!

心に火をともせ!
Pflanzt eure roten Banner der Arbeit auf jede Rampe, auf jede Fabrik.

すべての荷役場とすべての工場に赤旗を立てるのだ
Dann steigt aus den Trümmern der alten Gesellschaft

その後、旧社会の廃墟から立ち上がる

Die sozialistische Weltrepublik!

社会主義世界共和国!


<2番>
Arbeiter horch, sie ziehn ins Feld, und schreien für Nation und Rasse.

労働者たちよ注意深く聞け、彼らは戦争をはじめ、そして国と民族のためと叫ぶのだ
Das ist der Krieg der Herrscher der Welt gegen die Arbeiterklasse.

それは世界の支配者の労働者階級に対する戦争なのだ
Denn der Angriff gegen die Sowjetunion ist der Stoß ins Herz der Revolution.

というのも、ソ連に対する攻撃は、革命の心臓部への一突きなのだ
Und der Krieg der jetzt durch die Länder geht, ist der Krieg gegen dich, Prolet-!

そして各国で行われている戦争は、君に対する戦争なのだ、プロレタリアートよ!

 

【以下解説】

<1番>
Es/ geht/ durch die Welt/ ein Geflüster:

訳:世界でささやかれている

埋め草のesであり、事実上の主語はein Geflüster(ささやき)である。

よって、ein Geflüsterがdie Welt(世界中を)を駆け巡っているという訳になるだろう。

 

 

Arbeiter, hörst du es nicht?

訳:労働者よ、それ*4が聞こえないのか?

Arbeiter(労働者)はのちに続く疑問が単数形のため、単数で理解するのが自然だろう。

hörst du es nicht?は単純で、Don't you hear it?の意味。(否定疑問文)


Das sind die Stimmen der Kriegsminister:

訳:それは各国の国防大臣による声だ

Kriegsministerが2格かつderのため、複数形。よって各国のという意味になるのであろう。直訳はともかく昔のイギリス除いて戦争大臣って言わないので、国防大臣ぐらいが適切じゃないだろうか…

 


Arbeiter, hörst du sie nicht?

同上。

 

Es flüstern die Kohle- und Stahlproduzenten,

訳:石炭と鉄鋼生産者がささやいている

Esが主語と思いたくなるが、動詞flüsternが複数形のため、こちらも事実上の主語はKohle以下となる。(Esは単数形なので、これが主語ならflüstertとなる。)

Kohle- und Stahlproduzentenは石炭・鉄鋼produzentとなるが、Produzentは生産者/製造者なのでまあ石炭・鉄鋼生産者(業者/会社/業界)ぐらいが訳としていいのではないか。


Es flüstert die chemische Kriegsproduktion,

訳:化学軍需産業がささやいている

ほぼ同上。ただ化学軍需産業ってなんだって感じだが…

 

Es flüstert von allen Kontinenten:

訳:すべての大陸からささやかれている

von allen Kontinenten(from all continents)を除けばほぼ同上だが、意味上の主語がない。受け身のような形で訳すのが適切。


Mobilmachung gegen die Sowjetunion!

訳:「それはソ連に対する動員なのだ!」

Mobilization against the Soviet Union.の意味。

 

<コーラス>
Arbeiter, Bauern, nehmt die Gewehre,

訳:労働者たちよ、農民たちよ、銃を取れ

Bauern(農民たち)が複数形なので、Arbeiterも複数形と解するのが自然だろう。

nehmtなので、nehmenの2人称親称複数の命令形、つまりよそ向きではなく同志むけ。社会主義っぽい。*5

あとGewehrを銃と訳したが、これは字義的には小銃(ライフル)である。


Nehmt die Gewehre zur Hand.

訳:銃を手に取れ

zur Hand(手に)以外は同上。

 


Zerschlagt die faschistische Räuberheere,

訳:ファシストの略奪者どもを粉砕し

Zerschlagenは「粉砕する」の意味。ここでは2人称親称複数の命令形。

RäuberheereはRäuberherdeと書かれている動画があるが、Räuberheereが正しいのではないかと思う。raubenで強盗するだが、heerenというと略奪するイメージがあり、こちらのほうが正しい気がしている。

 

setzt alle Herzen in Brand!

訳:心に火をともせ!

字義的には「炎に火を入れろ!」だが、まあハートに火をつけろぐらいが日本語的に自然だろう。

 

Pflanzt eure roten Banner der Arbeit auf jede Rampe, auf jede Fabrik.

訳:すべての荷役場とすべての向上に赤旗を立てるのだ

Rampeについて、ランプ(街灯)と訳す人がいるがそれはLなので違う。

Rampeについて調べてみたが、どこをどう調べても、荷物の積み下ろし場としかドイツ含め辞書的には出てこないが、作業場とか職場とかそういう意味なのだろうか…


Dann steigt aus den Trümmern der alten Gesellschaft

訳:その後、旧社会の廃墟から立ち上がれ

命令形だね。あと aus den Trümmern der alten Gesellschaft(旧社会の廃墟から)で一塊なので分割しないでね。 der alten Gesellschaftは2格でTrümmernを修飾してるよ。

 

Die sozialistische Weltrepublik!

訳:社会主義世界共和国!

Welt(世界)と Republik(共和国)が1単語になってるし社会主義世界共和国が正しいのではないかと思う…


<2番>
Arbeiter horch, sie ziehn ins Feld, und schreien für Nation und Rasse.

訳:労働者よ注意深く聞け、彼らは戦争をはじめ、そして国と民族のためと叫ぶのだ

なんかここだけhorchenが単数形に対する命令な気がするがよくわからん、ごろが悪いのか。

ins Feld ziehenは出征させるの意味だが、戦争を始めるというのが意訳になるだろうか。というか目的語がない。


Das ist der Krieg der Herrscher der Welt gegen die Arbeiterklasse.

訳:それは世界の支配者たちの労働者階級に対する戦争なのだ

der Herrscherは複数形。

 

Denn der Angriff gegen die Sowjetunion ist der Stoß ins Herz der Revolution.

訳:というのは、ソ連に対する攻撃は、革命の心臓部への一突きなのだ

Dennは「というのは」。der Stoß ins Herz der Revolutionは「革命への心臓への一突き」の意味。Stoßは打撃というより刺突なので、心臓への一突きというのが一番しっくりくるのではないか。


Und der Krieg der jetzt durch die Länder geht, ist der Krieg gegen dich, Prolet-!

訳:そして各国で行われている戦争は、君に対する戦争なのだ、プロレタリアートよ!

dichなので単数形になっている。労働者一人一人へのメッセージだろうか。

*1:あとSowjetunionの読みは「ゾヴィイェートウニオーン」

*2:ささやき

*3:

*4:ささやき

*5:社会主義とかだと平等性から丁寧なSieよりもduを使う傾向があるとかないとか

語学を習得するという作業の本質的な側面

個人的な話にはなるが、筆者は英語とドイツ語がある程度運用することができる。

(英語は帰国子女経験から、ドイツ語は留学で身に着けた)

 

巷では語学学習のメリットについて説かれるものの、個人的に語学をやって何か役に立ったかというと、仕事でこそ多少使うようになったものの、それまでといえば海外製のゲームが遊べるとか海外のウェブサイトが見れるとか言ったそのような程度しか役に立たなかったと思う。(つまり実生活に大して役に立ってないのではないかと思っている)

 

一方、語学(特に英語)の効用についてはよく語られるものの、語学が習得する作業の本質的な意味については考察されることは少ないのではないかと思っている。

 

個人的な語学習得の作業の本質部分としては「言葉が持つ意味の核心部分に向き合い、ひたすらそれを照合する」という孤独でつらい作業なのではないかと考えている。

 

言語学上にプロトタイプ論という理論がある。それは、言葉の定義は「必要十分条件ではなく、言葉が持つイメージとどれだけ類似しているかによって運用される」という考えである。

たとえば、学術上「鳥」は「竜弓類に属する脊椎動物*1必要十分条件として定義されるであろうが、一般的な言葉の運用の面でいえば厳密な条件で定義されているわけではなく、あくまで「羽が生えた飛ぶふさふさな動物」というイメージになるということである。学術上ペンギンは間違いなく鳥であろうが、その予備知識がない人間がペンギンを見ても、鳥のイメージからかけ離れていてそれを鳥と認識する人はむしろ少数派なのではないだろうか。

自然言語は取捨選択であり、人間が扱える範囲の定義にするためにイメージによって外界を因数分解している。(完璧に目の前の事象をその他とありとあらゆる事象と区別できるのであれば、そんな言語は人間には複雑すぎて扱えない)

 

そして筆者は、このプロトタイプ論的な、「言葉が持つ意味のイメージをひたすらとらえる」ことが語学学習の本質ではないかと思う。

例えば、

日:「行く」

英:"go"

独:"gehen"

という単語がある。辞書や単語帳では、たぶんそれぞれ上記のように対応しているのであろうが、実際の運用としては異なるのではないか。

日:博物館に行った

英:I went to the museum 

独:Ich bin ins Museum gegangen*2

それぞれ日本語に対する訳としては以上のようになるだろうが、ドイツ語のgehenには「徒歩(圏内)で行く」という意味があり、日本語や英語が意味するところは異なってしまう。*3

一方

独:Das geht nicht.(それは通らない/うまくいかない/成立しない/不可能である)*4

を"go"を使って訳すことは不可能である。(「行く」なら二番目に限っては可)

さらに言えば、

英:go wrong(おかしくなる)を「行く」を使って訳すことは無理だが、ドイツ語であればfalsch gehenと言えなくはない。(いえなくはないだけ)

 

英語やドイツ語には単純な移動のほかに状態遷移の意味もあり(日本語にも「悪い方向に行く」のようにそれ自体はあることに注意)、ドイツ語の"gehen"には「通る」という意味もある(イメージができる)ということがわかるのではないか。*5

 

あくまでこれは一例であるが(かつ根拠あんまりないが)、語学学習とは単語帳や辞書で意味を確認した先にある「この単語やフレーズ、文法がどういうイメージを内包しているのか?」というのを母語やほかの第二言語と照合する作業の繰り返しであろう。そのために、ひたすら読んで書いて話して聞いて、どんな場面で使われているかを考え、意味とイメージをひねり出す、そんな孤独な作業なんだろうなと。(そしてそれこそが、巷で言われるニュアンスの確認なのではないか。)

 

ということで、語学には練習あるのみなのでなまけものの筆者は一向に語学が上達しない、そんなオチです。

 

*1:あくまでたとえなのでwikipediaから引っ張っただけです

*2:bin=sein動詞一人称単数現在,ins=in das、gegangen=gehenの過去分詞系、どう考えてもIch habe das Museum besuchtが自然な気がするが

*3:乗り物ならfahrenを使用する

*4:Das=That, geht=gehenの3人称単数現在形

*5:ちなみに蛇足だが、日本語や英語と違いドイツ語では動詞単体で方向を表すことがほぼ皆無であり、分離動詞などの形をとって方向を示すため日本語や英語では考えられない真逆の語のイメージを内包していることがある。例としては下がるabsteigenと上がるansteigenなど。

大型二輪教習2、3時限目を終えて中型との比較

実は大型二輪免許を取得するべく教習を受けている。

といってもご存知の通り普通二輪免許を取ってるので短期間で済むし、やってることは普段乗ってる普通二輪の延長である。

 

ということで備忘録かねて普通二輪(教習)*1との比較をしていこうと思う

 

【①重い】

普段乗ってるninja 400が170kg前後なのに対して、NC750は220㎏ぐらいあるのでその重量以上に重さを感じている気がする。なんというか本気で傾けないと曲がらない感じ。

スラロームはやってみたら普通に規定タイム内に収まっているのできちんと曲がれている感じはするけど、どうにもこうにもつかれるなあという感じ。

峠に行くならこれは疲れるなあという印象。

 

【②すげえトルクある】

ひねるとすぐ加速する。いや教習所の狭いなかだからやろと思ったけれども、そのあと帰宅する際にninja乗ったら「あれトルクなくね?」ってなったのでたぶん本当にトルクあるんだと思う。

ただ直線が多い公道ならまだしも、教習所の低速での安定性が求められる中では難しいというよりめんどくさい。

教官に「後輪ブレーキ踏みこんでアクセル強めに回してクラッチで操作する」って教わってから、一本橋スラロームもクランクも楽になったけれども、逆に強大なトルクと低速域での安定性を両立するのにそこまでしないといけないわけで、なかなか気が張るという感じ。

ただこのトルクがあれば高速道路とかすごい楽だろうなあとは思いました。

 

【③クラッチ重い】

これは大型というよりカワサキのアシストアンドスリッパ―クラッチによってクラッチがすごい軽いので、それに慣れてしまうと非常に重く感じるということですね。

ぼく自身の手が女性並みに小さいので、クラッチが重いと本当に苦労します。半クラでウィンカー操作できないのがすごく不便。(クラッチを限界まで握ってもなんとかという感じ)

 

【④めっちゃ放置される】

いや文句じゃないです。むしろ課題をガンガン練習できるので助かってます。

上記の文句とは裏腹に、そりゃ中型ガンガン乗り回してるので(半年で9000㎞)バイクの挙動とか動かし方、対処の仕方になれたので正直普通二輪教習より全然楽です。

大型取るのは中型で練習してから、っていうのもあながち間違いじゃないんだなあと思いました。

 

【⑤教官の言ってることがめっちゃわかる】

「曲がるときはケツを滑らすように」って普通二輪教習の時に教官に言われた時はなにいってんだこの人ってなってました。公道に出てしばらく走ってその意味がマジでわかりました。いやバイクで曲がる際はケツを滑らします。

「後輪ブレーキ使ってアクセル気持ち強めに回してクラッチをもう少しだけ握ってみれば制御できる」って言われた時、ninja乗り回してるので原理がわかるせいかすぐできました、やっぱ練習って大事だね


【⑥シフトインジケーターないのマジで不便】

すっかりシフトインジケーターでいざというときは確認できる癖がついてるのでインジケーターないのが不便ですね。

1速はシフトチェンジの際の「ガチャコン!!!」って音で識別できるため、2速に入っていることを確認するのにクラッチ握って1速にいれて2速に入れなおしてました。公道じゃ困らないけど、課題やるときはなんというか自分に都合のいいピッタリのギアが必要なので確認しないと怖い。

 

ということですでに数時間にして中型で良くね?ってなってるふしもあるんですが、 一方高速道路で移動することが多いんでこのトルクを制御できればものすごい面白いんじゃないかと思ってます。

目標とするレブル1100、ninja 1000もいつか運転できるようにいまはとりあえず頑張ってみます。

 

最後に

 

ninja 400はいいぞぉ~

 

*1:というか愛車のninja 400

ドイツ刑法典に個別規定で未遂罪がないお話

日本の刑法典において、各規定により未遂罪が罰せられる場合がある。

根拠は以下の通り。

 

刑法第43条

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

刑法第44条

未遂を罰する場合は、各本条で定める。

 

例えば具体的には

刑法第199条(殺人罪

人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法第203条

第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

 

という考えにどっぷり染まったため、ドイツ刑法典を読んだ際に各規定に未遂罪の規定がない為度肝を抜かれた。必死にドイツ刑法典(Stgb((Strafgesetzbuchの略、刑法典の意)))をペラペラめくって確認した記憶がある。

 

ドイツ刑法典211条謀殺罪(Mord)、212条故殺罪(Totschlag)以下を見ても未遂罪(Versuch)に関する規定が全く見当たらないのである。ドイツでは殺人罪に未遂はないのか?そんな馬鹿なことがあるか

 

...ということで、種明かしをすると未遂罪が包括規定なのである。

 

ドイツ刑法典23条1項

Der Versuch eines Verbrechens ist stets strafbar, der Versuch eines Vergehens nur dann, wenn das Gesetz es ausdrücklich bestimmt.

訳:Verbrechenの未遂は常に可罰的であり、Vergehenの未遂は法により明確に規定される場合のみ可罰的である。

なにいってるかわからんと思う。

そこで以下を見てみると

ドイツ刑法典第12条
第1項

Verbrechen sind rechtswidrige Taten, die im Mindestmaß mit Freiheitsstrafe von einem Jahr oder darüber bedroht sind.

訳:Verbrechenとは、最低刑が一年以上の自由刑によって処される不法行為をいう。

第2項

Vergehen sind rechtswidrige Taten, die im Mindestmaß mit einer geringeren Freiheitsstrafe oder die mit Geldstrafe bedroht sind.

訳:Vergehenとは、最低刑がそれより短い自由刑もしくは罰金刑により処される不法行為をいう。

 

ということでドイツ刑法典212条故殺罪は最低でも5年以上の自由刑に処されるので、Verbrechenに該当し、Verbrechenは未遂罪でも包括的に罰せられるので問題なく故殺未遂は罰せれらるのである。

正直めちゃくちゃわかりにくいので勘弁してほしい。

 

ここでふと殺人未遂ではなく故殺未遂(versuchter Totschlag)という言い方に疑問を思った方はいないだろうか。

 

ドイツ刑法典212条第1項Totschlag

Wer einen Menschen tötet, ohne Mörder zu sein, wird als Totschläger mit Freiheitsstrafe nicht unter fünf Jahren bestraft.

訳:殺人者(Mörder)にならずに人を殺したものは、殺人者(Totschläger)として5年以上の自由刑に処する。

直訳すると意味が分からないと思う。

MordもTotschlagも日本の辞書で引くと「殺人」として出てくる。文字通り読めば過失致死のような規定にも読めるが、

 

ドイツ刑法典222条Fahrlässige Tötung(過失致死)
Wer durch Fahrlässigkeit den Tod eines Menschen verursacht, wird mit Freiheitsstrafe bis zu fünf Jahren oder mit Geldstrafe bestraft.

訳:過失により人の死を引き起こしたものは、5年以下の自由刑または罰金刑に処す。

過失致死はちゃんと規定があるのである。

 

じゃあ212条の条文を読み解くカギは211条にあり、

ドイツ刑法典211条Mord(謀殺罪)

第1項
Der Mörder wird mit lebenslanger Freiheitsstrafe bestraft.

訳:殺人者(Mörder)は終身刑に処す。

第2項

Mörder ist, wer aus Mordlust, zur Befriedigung des Geschlechtstriebs, aus Habgier oder sonst aus niedrigen Beweggründen,heimtückisch oder grausam oder mit gemeingefährlichen Mitteln oder um eine andere Straftat zu ermöglichen oder zu verdecken,einen Menschen tötet.

訳:殺人者(Mörder)とは、快楽殺人から、性欲から、強欲さからもしくはその他の下劣な動機から、陰湿、もしくは残酷に、もしくは、公共にとって危険な手段を用いて、又は、他の犯罪行為を可能にし、若しくは隠蔽するために、人を殺害した者をいう。

 

要するに重い殺人は211条謀殺罪で裁かれてそれ以外は212条が適用されるんですね。

辞書を引いても両方とも殺人罪としかでていないし、謀殺と故殺は日本では旧刑法以降は区別しないのでなじみが薄いかもしれませんね。あんまり旧刑法典詳しくないですが、謀殺と故殺の区別は日本の旧刑法とドイツ刑法で違うような気もするし。

 

 

結論何が言いたかったというと、外国語で法律をやると沼です、辞書はきちんと書いてくれ頼む。

やっぱシンジ君が最後鈴原サクラと手をつないで階段を駆け上がったシーンはよかったよね(エヴァ)

タイトル詐欺です!!!!!

 

エヴァの映画2回見たぼく「やっぱシンジ君が最後鈴原サクラと手をつないで階段を駆け上がったシーンはよかったよね」

いっしょに2回みた友人「おまえ違う映画みてただろ」

 

鈴原サクラは可愛いだろ!!!!!!!(まともそうに見えて愛が重い女が好き)(まだいう)

 

というのは冗談で、アスカファンだけど実際シンジ君がサクラ...ではなくてマリと結ばれた(?)のは良かったと思うんですよね

 

中学生の頃にエヴァにはまって以来、ぼくはアスカが非常に好きで(アスカとかサクラみたいな愛が重いキャラが好き)アスカとシンジ君が幸せを願っていたんだけど、まあおそらくあのカップルは(長期的には)成立しえないなと

 

シンジ君はシンジ君でかわいそうな人生で、親と死別したり不器用で人格破綻者な父親から見捨てられたりして無関心っぽいけど人からの愛情に飢えている

しかも何が救いがないって第三新東京市に来た後も碇ゲンドウといい、ミサトさん*1といい、周りの大人があんまりまともじゃないんですよね

一方のアスカも母親と最悪な形で死別したり、ゆがんだエリート意識で強烈な承認欲求と愛情に飢えている

 

彼らが結ばれたところで、お互い影がある加持さんとミサトさんみたいな傷の舐めあいで終わるずぶずぶの愛情表現になってた気がするんですよね*2

結ばれてそれはそれで幸せにはなるんだろうけど、精神衛生上嫌悪感と退廃な気分でどんどん悪化していくんだろうなと

いやなんというかドラッグ、酒、セックスみたいな精神的快楽と引き換えに本当にボロボロになっていく緩やかな精神的自殺みたいな

 

その点ぽっと出の女マリさんがかさらっていったといえば聞こえは悪いけど、マリさんはひょうひょうとしていて、一歩引いた関係でずぶずぶな関係にはならない。が、適切に愛情を与えることはできる。

シンジ君の衛生上いいだろうし、関係もより適切。

 

アスカも同じくひょうひょうとしたケンケン(ケンケン本当にい奴だよケンケン)*3のほうが上手くいくだろうし、よかったなあアスカよかったよという気持ち悪いおじさん視点で見てました。

 

まあ言いたいかというと、エヴァは個人的には最高の形で終わりました。

 

では最後に

やっぱシンジ君が最後鈴原サクラと手をつないで階段を駆け上がったシーンはよかった!!!サクラかわいい!大好き!!!!

 

*1:やめてよミサトさんの件とか本当にひどい

*2:言葉を選ばずに言えばセ〇レみたいな

*3:筆者はケンケンとトウジが生きてて泣きそうになりました

バイク乗りというどうしようもない人種になったこと

普通二輪免許を取得しNinja 400という中型バイクを購入してかれこれ半年たった。

半年で5000㎞程度乗ったのでそこまでとは言わないがなかなか乗ったほうだと思う。

 

そしてバイクに一週間乗れないと結構禁断症状が出てくる程度にははまっている。

 

なにがそんなに楽しいのか?といえば

「自分の思い通りにバイクという目の前の機械が進んでいく快感」だろう。

 

正直なことを言えば支配欲以外の何物でもない。そして仮に転んで死ぬことがあれば思い通りに動かした結果バイクと一緒に死ぬ。自分のやったことがダイレクトにバイクに伝わる代わりにそのフィードバックも自分が負う。

自分の所有するカワサキ製のNinja 400は中型最速といわれる程度の加速力を持ち、軽くよく曲がるバイクである。

それゆえ自分の操作した結果がダイレクトに伝わるしダイレクトに跳ね返ってくる。

追い越しをかけるときも適宜ギアを下げてアクセルをひねれば思った通りの速度が出る。中型故パワーが過大すぎることもないが、400㏄故パワー不足を感じることもない。

が、トルクは太いので高いギアでも極端なことをしなければ低速からでもついてくる。

合流、車線変更も速度を極めて短時間に思い通りに設定できるため非常に楽。

合流時に3速でギアを全開にすれば次の瞬間には走行車線の車よりも速く走れている。

自分がバイクに命令を伝え、自分を(物理的に)引っ張る。それがたまらなく気持ちいい。

 

がその加速力と旋回力は車から乗員を守る設備を取っ払った結果でもある。

その多幸感は危険と引き換えでもある。だがそれすら楽しいのである。狂っているし酔っている。

バイクとは自動車と比べればどうしようもない乗り物である。

夏は暑いし冬は寒い。雨にはぬれる。自動車と比べ危険因子が多い。

正直実用性を考えたら車に乗るべきである。

 

しかしこのどうしようもない乗り物はどうしようもなく楽しい。楽しいってことは重要だ。

自身を危険にさらす背徳感と不健全な多幸感にまみれながら、アップテンポな曲をかけて夜風に当たりながら走るのは本当にどうしようもない快感である。どうしようもない人種になったのだ。

 

是非興味があればバイクに乗ってみてほしい。どうしようもない乗り物だが、どうしようもなく楽しいことは保証する。ようこそ。

銃は騎兵を絶滅させたのか?

この前、Twitterで(火縄)銃が騎士を衰退させたとか騎兵を衰退させたとかいやそうじゃないとかで議論してるツイートを見かけた


ちなみに中世と騎士に関してはよく知らんので兵科としての騎兵しか話しません


結論から言うと、決定的にある瞬間騎兵が死んだわけじゃなくて、徐々に衰退したから話がややこしい


結局「ライフルが騎兵をじわじわと追い詰め」「機関銃がトドメを刺した」というのが正しいのだろう


ということで銃とライフルと機関銃のお話をしていこうと思う


【黎明期の銃】

銃とは何か?というと定義そのものは簡単で、火薬に点火して燃焼ガスで弾丸をぶっ飛ばすもの。

ちなみに大砲も同じ。

初期の銃なんて鉄の筒に鉛玉と火薬入れて小さな穴から火を入れてぶっ飛ばすとかそんな感じ。

だからまあ当たらん。火縄銃になっても点火に口薬使うとかそんな感じなので狙えるのはせいぜい数十mとか。

敵の黒目が見えたら銃を撃つというのはおそらく間違いじゃない。

だからこそ戦列歩兵で密集して敵に向かっても平気であり、当たらないからこそ一斉に射撃しようという話になる。

じゃあなんで当たらないのに使ったんだよと言われれば現在のショットガン並みのエネルギーを持つ兵器が簡単な訓練と安い兵器*1で済むから。


が騎兵を絶滅させたかといえばそんなことないのである。っていうかそもそも騎兵が銃を使ってるしナポレオン戦争までは(というか普仏戦争でも)バリバリ現役だし。鎧は貫通するかもしれないけどだったら鎧脱いで軽装で銃持って敵に突っ込めばいい話である。

数百年で銃は発展するがそれはマスケット(火縄銃)から点火方法が火打ち石のフリントロックや雷管のパーカッションロックになったぐらいで命中精度は変わらない。

ということでまだ騎兵を絶滅させるには至らない。


【ライフルの出現】

最初に騎兵に打撃を与えたのはライフルである。

ライフルの出現で命中精度が数百メートルまで伸びる、つまりまともに狙えるようになったのだ。

ライフルって何よって言うと銃身の内部に螺旋状の溝を彫って、発射された弾丸に横回転を与えて弾道を安定させる仕組みを持つ銃である。*2


つまり突っ込んでくる騎兵もまともに狙えるようになる。


ライフルがまともに使われるようになったのはアメリカでは19世紀半ばの南北戦争プロイセンでは1830年〜だけれども、ちょうどその頃に戦列歩兵が姿を消す。*3


が別に騎兵を絶滅させたわけじゃなく、むしろ騎兵もライフルを持つ。1904〜1905年の日露戦争でも騎兵いたし。

ということで戦術に影響は与えたかもしれないがまだまだ騎兵は現役。


【機関銃の出現】

機関銃は黎明期はガトリング銃が南北戦争で使われるが、本格的な出現は19世紀後半の植民地戦争〜第一次世界大戦である。

当時のライフルは基本連射がきかない*4が、機関銃は連射が効く。そしてそれこそが歴史にあまりに大きな戦術上の変化をもたらした。

流石に大きな図体の騎兵は機関銃のいい的なのである。

そして早くても地雷原+有刺鉄線+機関銃陣地+大砲の4連コンボを抜けられない。


この頃のライフルは大口径のボルトアクションであり、1000m以上の射程がある。平原ではライフルでさえ大きな脅威なのに同じような射程で機関銃が待ち構えてるのである。

ということで騎兵はほとんど役に立たなくなり姿を消す。*5

WWIを持って騎兵は完全にトドメを刺される。


ということで別に銃が一撃で騎兵を絶滅させたわけじゃないというわけなんですねはい


じゃあ歩兵で機関銃陣地突破できるのか言ったら別に突破できないんですがそれに合わせて銃がどう発展したかはまた別の話。またの機会に。

*1:中世イタリア半島で銃が導入されたのは安かったから

*2:ちなみに今は拳銃とかもみんなそう

*3:ちなみにアメリカは前装式のミニエー銃、プロイセンは現代的な後装式のドライゼ銃なので仕組みそのものは全く違う

*4:フェドロフM1916とかいうあまりに先進的な変態銃もあったが

*5:まあロシア内戦でブジョンヌイが活躍したり偵察用とか追撃で細々と活躍したようだけど